就職し環境に関わる業務を結構諸々(ここでの経験が一番の財産だったと確信している)やらせてもらっていた若き日のnodeだったが
リーマンショックにより
工場が閉鎖することになり、機械系出身ではないけれど勉強すればライン設計(開発者の意図に合わせて図面におこす業務)は出来そうと判断され、近くにあった設計部隊に配属してもらう事になった。仕事がなく持て余されても仕方ない状況だったにも関わらず、運がいいなと思った。
機械設計が何たるかを語るコトは出来ないけれど、開発者は1人でも、設計者が10人いれば図面として出力される可能性は10種類になる(勿論大きな違いはないし、検図という工程を経て可能性の幅は最小になるようになっている)。とはいえ誰が設計したかで、図面の細部が変わる。そして、細部にこそ神は宿る。細部の質が図面の質そのものだった。そんな中で、nodeは考えた。能力が劣っている自分の図面の質を上げるには、部署が持つ「知識(コト)」のうち、ライン設計には必要ない「知識(コト)」を減らして、必要な「知識(コト)」の総量を減らすしかない。そう思うに至る過程は色々あったけれど、全く面白くないので割愛。そして、「知識(コト)」を減らすためには「資料・資産(モノ)」も減らす事が不可欠だとも感じた。
「コトの捨」の為に捨てなければならない「モノ」は紙やデータ・現物でなく、「モノ」の期限切れを証明すること。その資料・資産はいつから効力を失ったのか、何故効力を失ったのか明確にすること。基本的な知識があり経験や実践の中で、自然とアップデートされる他の設計者達にとってそれらを明確にすることはそう重要視されていなかった。
「コトの捨」を意識して仕事をしていたら、図面管理や文書管理を一手に任されるようになっていた。
能力が高い人も「いらない知識は捨てたら楽」だったのではないか。能力が足りないなりに、役に立てた事が嬉しかった。そして、「捨」はきっとどこにでもある。自分の強みは「捨」なのだと感じた。
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